鬼滅の刃に登場する、鬼殺隊の最強剣士である「柱」。
鬼滅の刃の登場人物は、鬼にも含めて辛く苦しい過去を持つ人がほとんです。
柱たちにはどんな過去があったのでしょうか?
柱になる前はもちろんですが、なぜ鬼殺隊に入隊したのでしょうか?
彼らの過去を知ることで、生き様や内に秘める想い。
そして鬼殺隊となって鬼御倒すことの意味を知ることができます。
今回は、そんな鬼殺隊の最強クラス「柱の過去」についてご紹介します。
単行本の何巻の何話で読めるのかもご紹介します。
本記事には鬼滅の刃 最終話までのネタバレを含みます
目次
水柱 冨岡義勇の過去
水柱 冨岡義勇の過去が分かるのは・・・
単行本
- 15巻 第130話「居場所」 第131話「来訪者」
話の流れを簡単に説明すると・・・
柱稽古には参加しないと言う義勇に、お館様からの言いつけ通り「稽古をつけてほしい」と頼み続ける炭治郎。
あまりのしつこさに、義勇は重い口を開くのです。
義勇は「俺は最終選別を突破していない」と伝え、その最終選別には錆兎と共に選別を受けています。
錆兎とは同じ年で共に天涯孤独ということもあってすぐに仲良くなり、錆兎は最終選別の藤襲山の鬼をほとんど倒したが、亡くなってしまいます。
義勇は最初に襲い掛かってきた鬼から怪我を負い意識を失い、鬼を1体も倒さず気が付いた時には最終選別が終わっていたのです。
「一体の鬼も倒さず 助けられただけの人間が 果たして選別を通ったと言えるのだろうか 俺は水柱になっていい人間じゃない」と心の内を話します。
炭治郎の「義勇さんは錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか?」という言葉に、錆兎との大事なやり取りや姉のことを思い出すのです。
こうして、義勇は過去の自分と向き合い、最終決戦に向けて柱稽古に参加します。
また、義勇の姉蔦子さんとのことは公式ファンブックに載っています。
鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録
- 鬼殺隊入隊記録◆冨岡義勇 P48 解析図
- 鬼殺隊報(号外) <柱>◆冨岡義勇
鬼殺隊報の内容は、どのような経緯で鱗滝さんの下へ来たのか?弟子入りする前のことが記載されています。
病死した両親の遺産で姉の蔦子と二人暮らしをしていたのですが、姉は祝言の前日に鬼に襲われ亡くなってしまいます。
義勇は、姉が鬼によって殺されたことを周囲の人に言ってしまったため、心の病気だと思われてしまい、遠方で医者をやっている親戚の家へ連れて行かれる途中に逃げ出します。
途中、山の中で死にかけていたところを鱗滝さんの知人の猟師に助けられ、鱗滝さんに弟子入りすることになったのです。
両親の遺産で姉と生活していたことや、親戚が医者であるという環境から、義勇は裕福な家庭に生まれたのではないか。と推測できます。
蟲柱 胡蝶しのぶの過去
蟲柱 胡蝶しのぶの過去が分かるのは・・・
単行本
- 6巻 第50話「機能回復訓練・後編」
- 7巻 番外編
- 16巻 第141話「仇」
- 17巻 第143話「怒り」
鬼滅の刃ノベライズ第2巻
- 第1話 片羽の蝶
しのぶは、薬の調合の仕事をしていた両親と姉のカナエの4人で幸せに暮らしていました。
しかし目の前で両親が鬼に殺され、悲鳴嶼行冥に助けられます(17巻 143話「怒り」)
姉のカナエと共に鬼から守ってくれた悲鳴嶼行冥の元を訪れ、鬼殺隊のことを知り育手を紹介してもらう(ノベライズ第2巻 片羽の蝶)。
その後は姉と共に鬼殺隊に入隊し、姉のカナエは花柱として活躍していました。
ある時、人売り連れられている栗花落カナヲに出会い、カナヲを引き取ります(7巻 番外編)
カナヲを、カナエとしのぶの妹として迎え入れ共に同じ時を過ごしていたのもつかの間。
最愛の姉カナエは、後に上弦の弐となる童磨(どうま)に殺されてしまいます(6巻 第50話「機能回復訓練・後編」、16巻 第141話「仇」)
昔のしのぶは、今の穏やかな性格とは真逆でとても勝気な女性でした。
7巻の番外編では人売りが姉のカナエに触れようとすると、眉間にしわを寄せ眉も目も吊り上がらせて睨みつけます。
その後、人売りにお金を投げつけてカナヲを連れ去っています。
しかし、姉のカナエが死んでからは姉が理想としていた「鬼と仲良くする」想いを継いで、そして姉が好きだと言ってくれた「笑顔」を絶やさないようにしていたようです。
炎柱 煉獄杏寿郎の過去
炎柱 煉獄杏寿郎の過去が分かるのは・・・
単行本
- 7巻 第55話「無限夢列車」
- 8巻 第64話「上弦の力・柱の力」
鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐
- ◆単行本未収録漫画「煉獄零話」
鬼滅の刃 外伝
- 鬼滅の刃「煉獄杏寿郎外伝<前編><後編>」
煉獄の過去が描かれているのは本編である単行本以外に、公式ファンブックに掲載されている「煉獄零話」や作者の吾峠先生が監修している外伝本である「煉獄杏寿郎外伝」とあります。
時系列に並べると・・・
- 「上弦の力・柱の力」
(単行本 8巻 第64話) - 「煉獄零話」
(公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐 ◆単行本未収録漫画) - 「煉獄杏寿郎外伝<前編><後編>」
(鬼滅の刃 外伝) - 「無限夢列車」
(単行本 7巻 第55話)
①単行本8巻 第64話「上弦の力・柱の力」では、上弦の参 猗窩座(あかざ)から「お前は選ばれし強きものなのだ!!!」と言われた言葉で、煉獄が過去を思い出すシーンです。
亡き母である瑠火(るか)が生前、煉獄に大切なことを教えるのです。
「なぜ自分が強く生まれたのかわかりますか」という問いに、まだ子供である煉獄は答えることができず、その理由を母から教わります。
「弱き人を助けるため 弱き人を助けることは 強く生まれた者の責務です 責任を持って果たさなければならない指名なのです 決して忘れることなきように」
そう言って母は自分は先は長くないこと、強く優しい子の母になれて幸せだったと、まだ幼い煉獄に伝えるのです。
②「煉獄零話」は公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐◆単行本未収録漫画に掲載されています。
煉獄が鬼殺隊員としての初任務記録の物語となっています。
柱ではない煉獄の活躍が見られる貴重な物語であると共に、父 煉獄槇寿郎が杏寿郎や千寿郎に冷たくする理由が明らかとなります。
父 槇寿郎が冷たくする理由は「息子たちを死なせたくないから」だったのです。
鬼殺隊に入隊した時も、柱になった時も「大した者になれない」と冷たくすることで、杏寿郎のやる気を失くし鬼殺隊を辞めてほしいという気持ちの表れだったのでしょう。
そして③煉獄杏寿郎外伝<前編><後編>は、作者である吾峠呼世晴先生が監修し平野稜二さんが書いた鬼滅の刃外伝です。
煉獄は「甲」という階級の一番上で、まだ父が炎柱として鬼殺隊に所属しているところから始まり、杏寿郎は後の恋柱 甘露寺蜜璃を継子にし稽古をしていました。
柱会議には行かないと言う父親の槇寿郎の代わりに杏寿郎が柱会議に参加し、母親を亡くし酒に溺れるようになってしまった父に代わり自分が炎柱になると告げます。
そこでお館様から十二鬼月が出現すると思われる場所へ行き、討伐任務にあたるようにと言われます。
そこで見事に十二鬼月を倒して炎柱となる煉獄。
この物語は煉獄の回想シーンとして描かれ、場面は無限列車編の猗窩座との相打ちのシーンになり、母にしっかりと責務を果たすと誓いながら戦うのです。
最後の④「無限夢列車」は単行本7巻 第55話です。
これは下弦の壱 魘夢(えんむ)によって眠らされ、夢の中のシーンで煉獄が柱になった時のシーンが描かれています。
柱になったことを父親に報告するのですが「柱になったから何だ くだらん…どうでもいい どうせたいしたものにはなれないんだ お前も俺も」と言われてしまいます。
弟の千寿郎に「どうでしたか?」と聞かれ、ありのままを話す杏寿郎。その話を聞いて涙を流す千寿郎。
しかし杏寿郎は決して挫けない そして弟 千寿郎には兄である俺がいる 燃えるような情熱を胸に頑張って生きて行こう!と励まします。
母 瑠火が言う通り、杏寿郎は強くて優しい子だというのがここでも分かりますね。
音柱 宇髄天元の過去
音柱 宇髄天元の過去が分かるのは・・・
単行本
- 10巻 第87話「集結」
他の柱と比べると、宇髄の過去は描かれているシーンが少ないです。
宇髄はもともと忍び一族の長男として生まれ、9人いた弟や妹は宇髄が15歳になるまでに7人亡くなり、生き残ったのは2歳年下の弟と宇髄だけです。
忍び一族が衰退していることに危機感を覚えた父親が、忍びを存続させるために厳しく過酷な訓練を姉弟に強いたためです。
3人の兄弟は年齢が一桁のうちに過酷な修行のため死亡し、他の6人は父親の命令でお互いの頭や顔と覆面で隠し、殺し合いをさせられたのです。
この時、お互いが兄弟であることは知らされていなかったのですが、宇髄は兄弟を二人殺した後に気が付き激しく狼狽しました。
強い子供だけを残すというまともではない父親の策略を弟に伝えましたが、弟は残った兄弟を殺すことに何も感じていなかったのです。
その生き残った弟は、父親と同じ考え・言動を持っていたからです。
部下は駒 妻は跡継ぎを産むためなら死んでもいい 本人の意思は尊重しないという無機質な考えです。
「俺はあんな人間になりたくない」という思いで、三人の嫁とともに抜け忍となった宇髄は、そのまま鬼殺隊へ入隊したのです。
宇髄に嫁が三人いるのは、忍び一族は一夫多妻制で15歳になると3人の妻を持つ事になり、その奥さん選びは、一族の長が相性を考えて選ぶそうです。
宇髄が「派手好き」になったり、鬼狩りになった後に妻3人の命が第一優先になったのも忍びである過去の反動のようです。
忍びとして地味に生きてきた事への反動で派手好きになり、父や弟のような無機質な人間になりたくない。という思いから自分の命は二の次とし、妻や堅気の人の命を優先する信条になっていったのです。
霞柱 時任無一郎の過去
霞柱 時透無一郎の過去が分かるのは・・・
単行本
- 13巻 第108話「時透君ありがとう」
- 14巻 第118話「無一郎の無」「よみがえる」「異常事態」
無一郎には過去の記憶がありませんが、刀鍛冶の里での上弦の伍 玉壺(ぎょっこ)との闘いで徐々に思い出していきます。
その中で無一郎の過去が描かれています。
きっかけは、刀鍛冶の里の少年 小鉄が上弦の伍が血鬼術で生み出した鬼に襲われているところを助けた時です。
重症を負っている無一郎が治療され床に臥せっている時のお館様の言葉を思い出すのです。
「失った記憶は必ず戻る 心配いらない きっかけを見落とさないことだ」
「ささいな事柄は始まりとなり 君の頭の中の霞を鮮やかに晴らしてくれるよ」
※13巻 第108話「時透君ありがとう」
上弦の伍との闘いで血鬼術 水獄鉢(すいごくばち)によって粘土の高い水の中に閉じ込められてしまいますが、炭治郎の姿を返して誰かの言葉を思い出そうとします。
そこに危険を顧みずに無一郎を助けようと水獄鉢に空気を入れる小鉄の行動によって、亡き父の言葉を思い出します。
「人のためにすることは 巡り巡って自分のためになる(炭治郎にも言われた言葉)」
「そしてひとは自分ではない誰かのために 信じられないような力を出せる生き物なんだよ 無一郎」
ここから無一郎の過去の回想シーンとなり、過去が見えてきます。
無一郎が10歳の時、母が風邪をこじらせ肺炎になり亡くなり、父は母のために嵐の中薬草を取りに出て行き崖から落ちて亡くなっています。
10歳で一人きりになったと思い出すがそれは違い、一人になったのは11歳の時だと気が付き、自分には双子の兄 有一郎がいたことを思い出すのです。
有一郎は人のために何かをしても無駄だと無一郎に言い続けていたのですが、そんな兄の考えやきつく冷たい言葉に無一郎は兄との二人暮らしに息が詰まるような思いをしていたのです。
ある時、お館様の御内儀であるあまね様が二人の元を訪れ、始まりの呼吸の剣士の子孫であることを伝え、無一郎は有一郎に剣士になり鬼に苦しめられている人を助けようと言います。
有一郎は「俺たちに何ができる?犬死と無駄死にだよ 父さんと母さんの子供だからな」
「結局はあの女に利用されるだけだ!!何か企んでいるに決まってる」と猛反対します。
それから二人は口を利かなくなり夏が来て、夜も暑い日に戸を開けて寝ている所に鬼が現れ、二人は鬼に襲われて有一郎は腕を失う重症を負います。
鬼に「いてもいなくても変わらないような つまらねぇ命なんだからよ」と言われ、無一郎激しい怒りと共にとてつもない咆哮を発しながら鬼を倒します。
朝日が昇り鬼が塵となって消えた後、有一郎の元に行くともう死の間際にいる兄 有一郎
「神様 仏様 どうか弟だけは助けてほしい 弟は心の優しい子です」
「人の役に立ちたいと言うのを俺が邪魔した バチを当てるなら俺だけにしてください」
「無一郎の無は❝無限❞の❝無❞なんだ」と言い残し、兄 有一郎は亡くなってしまうのです。
※14巻 第118話「無一郎の無」
14巻 第119話「よみがえる」では、無一郎の刀を担当していた鉄井戸さんとの思い出が蘇ります。
記憶が無い無一郎が余裕がなく不安であることや、血反吐を吐くような努力をしていること
それが誰が分かってくれるだろうか・・・
無一郎の刀を観ていると涙が出てくる 自分はもう長くない 命を惜しむ歳では無いが 無一郎のことが気がかりだ。と話してくれたことを思いだしたのです。
無一郎は初登場から記憶を取り戻すまでは、何事もどうでもよく無気力で冷徹な言葉を人に浴びせてきましたが、自分の過去の記憶を取り戻してからは元の優しい無一郎に戻っていきます。
恋柱 甘露寺蜜璃の過去
恋柱 甘露寺蜜璃の過去が分かるのは・・・
単行本
- 14巻 第123話「甘露寺蜜璃の走馬灯」
- 14巻 第124話「いい加減にしろバカタレ」
鬼滅の刃ノベライズ第2巻
- 第3話 甘露寺蜜璃の隠し事
鬼滅の刃 外伝
- 鬼滅の刃「煉獄杏寿郎外伝<前編><後編>」
単行本14巻 第123話「甘露寺蜜璃の走馬灯」では、刀鍛冶の里での上弦の肆 半天狗(はんてんぐ)との闘いにて、至近距離で鬼の血鬼術❝狂圧鳴波❞をくらってしまい走馬灯を見ている時に、甘露寺の過去のシーンが登場します。
甘露寺がまだ鬼殺隊に入隊する前の17歳の普通の女の子であった時、お見合い相手から言われた言葉があります。
「君と結婚できるのなんて熊か猪か牛くらいでしょうか そのおかしな頭の色も子供に遺伝したらと思うとゾッとします」
「このお見合いは無かったことに 私のことは忘れてください さようなら」
何とも辛辣な物言いでお見合いが破断してしまったのです。
そして、甘露寺の肉体は特殊であること 筋肉の密度が普通の人の8倍あるのです。
幼少期からその特殊な肉体は明らかで、約15kgの漬物石を持ち上げたり、成長してからは相撲取り3人よりもよく食べるようになったそうです。
そんな過去がある甘露寺は、お見合いが破断してからこのことを隠さなければいけないと髪を黒く染め食べたい物を我慢し、力も弱い振りをして過ごしていました。
そうしていると結婚したいと言う男性が現れたのですが、甘露寺は「これでいいのかな?私、一生こうして生きていくのかな?」と疑問を持ち鬼殺隊に入隊します。
同じく14巻の第124話「いい加減にしろバカタレ」では、鬼殺隊に入隊した後にお館様から言われた言葉に感激し自信を付けていく様子が描かれています。
「君は神様から特別に愛された人なんだよ蜜璃 自分の強さを誇りなさい」
「君を悪く言う人は 皆 君の才能を恐れ 羨ましがっているだけだよ」
この言葉を思い出し、自分を丈夫に産んでくれた両親への感謝 鬼殺隊のみんなが自分を褒めてくれる
鬼から守った人たちからは涙を流して感謝してもらったこと 蛇柱の伊黒さんから縞々の靴下をもらったこと
甘露寺は、鬼殺隊に入隊してからの様々な感謝と嬉しかったことを思い出し、女の子なのに強くなって人間じゃないみたいに言われるのはでないかと力を抑えていたこと後悔し、半天狗と再び闘い始めます。
滅の刃ノベライズ第2巻「第3話 甘露寺蜜璃の隠し事」では、自分と添い遂げてくれる強い男性を見つけるために鬼殺隊に入隊したことを、蟲柱 胡蝶しのぶに打ち明けたこと
その後、しのぶが鬼に両親を殺され鬼殺隊に入隊したことや入隊後に姉も鬼に殺されていることを知ることになります。
甘露寺が鬼殺隊に入隊した理由が浮ついている。しのぶはどう思っただろうか?とまた自身を無くして力が落ちて行く甘露寺。
それに気が付いた胡蝶しのぶが、甘露寺を試すように竹刀で剣を交えながらお互いの想いをぶつけ合い信頼と友情を深めていくのです。
また、鬼滅の刃 外伝「煉獄杏寿郎外伝<前編><後編>」では主人公は炎柱の煉獄杏寿郎ですが、その煉獄の継子時代の甘露寺の様子が描かれています。
蛇柱 伊黒小芭内の過去
蛇柱 伊黒小芭内の過去が分かるのは・・・
単行本
- 22巻 第188話「悲痛な恋情」 第189話「心強い仲間」
物語終盤である鬼舞辻無惨との決戦で伊黒の過去が明らかになっています。
鬼舞辻との決戦で、恋柱の甘露寺が重症を負います。
伊黒がすかさず駆けつけ戦線離脱し、味方の鬼である愈史郎の元へ連れていき手当てをするよう後輩隊士に預けました。
そして、再び鬼舞辻との闘いに向かおうとする伊黒に向かって甘露寺が「自分はまだ戦える。伊黒さん 嫌だ 死なないで!!」と
その言葉を聞きながら「鬼なんてものが存在しなければ、どれだけの人が死なずに済んだだろうか」
「もし君(甘露寺)と、何げない日常で出会うことができていたら どんなに良かっただろう」
「いや 無理だな俺は」という言葉から、伊黒の過去が明らかになるシーンが描かれていきます。
女ばかりが生まれる家で、男児が生まれたのは三百七十年振りであり、伊黒は生まれた時から座敷牢に入れられてしまうのです。
毎日大量の食事を運んで来る母や姉妹・叔母たちは、気色悪いぐらいに親切に接してくるのです。
伊黒が12歳になった頃に座敷牢から出され、下肢が蛇のような女の鬼の前へ連れ出されます。
伊黒の一族は、この蛇鬼が人を殺し奪った金品で生計を立てていたのです。
蛇鬼は赤ん坊が大好物であったため、見返りとして一族の女が産んだ子供たちを生贄として捧げていたのです。
伊黒ももちろん蛇鬼の生贄でしたが、男児であったことと風変りの珍しい目であったことが蛇鬼に気に入られ、成長して喰える量が増えるまで生かされていたのです。
鬼蛇は自分の口と形を揃えるために伊黒の口を切り裂いたのです。
その事実を知った伊黒は座敷牢に戻された後、逃げること・生きることだけを考え盗んだかんざしで木の格子を削り、牢に迷い込んできた白蛇の鏑丸と共に逃げ出します。
しかし、逃げる途中で伊黒を追ってきた蛇鬼に捕まりそうなところを、当時の炎柱に助けられます。
炎柱は伊黒を生き残った従妹に会わせてくれたのですが、従妹から伊黒が逃げたことで50人もの殺されたことを知らされ、酷い罵声を浴びせられます。
「生贄のくせに!!大人しく喰われてりゃ良かったのに!!」
この言葉には何の正当性も無いのに、伊黒の心を深く傷つけたのです。
やり場のない思いは全て鬼に向け、ひたすら鬼を恨んで憎み続けた日々。
鬼殺隊となって鬼から人を救うことで自分が少しだけ❝いいもの❞になれた気がしていましたが、汚れた血筋の一族である事実は変えられない。
鬼舞辻を倒して自分も死んで汚れた血を浄化し、鬼のいない平和な世界で人間に生まれ変わったら「今度は君(甘露寺)に好きだと伝える」
ここで伊黒が抱いていた甘露寺への気持ちが明らかになります。
そして第189話「心強い仲間」では、鬼舞辻との闘いがより激しくなる中で「誰よりも戦果上げていない もっと有効な攻撃を与えることができれば」と考える伊黒は、また過去のことを思い出します。
「命の危機に瀕した時 生き物は爆発的な力を発揮する」このことを伊黒を身をもって体験している過去があります。
それはかんざし1本で座敷牢の分厚い格子を破ることができると 俺は知っている
これを思い出し、また霞柱 時透無一郎が死ぬ間際に白刀を赫くし、上弦の壱に致命傷を負わせたことを鎹鴉からの報告から知っていたのです。
伊黒も同じく自分の刀を赫くし、鬼舞辻との闘いで戦果を上げるのです。
風柱 不死川実弥の過去
風柱 不死川実弥の過去が分かるのは・・・
単行本
- 13巻 第114話「認められたかった」 第115話「柱に」
- 19巻 第168話「百世不磨」
鬼滅の刃ノベライズ
- 第1話 風の道しるべ
13巻 第114話と第115話の過去の回想シーンは不死川実弥の弟である玄弥の回想になります。
刀鍛冶の里での上弦の肆 半天狗との闘いで、鬼喰いをして戦っている玄弥は鬼に頚を斬られそうになり、死の間際に思い浮かべたのは兄の実弥です。
自分が鬼殺隊員として強くなり柱となって兄に認められ「過去の事を謝りたい」。
その過去とは・・・
風柱 不死川実弥は七人兄弟の長男、玄弥は次男です。
父親は人に恨まれ命を落とし、実弥は弟の玄弥と共に母親や弟妹を一緒に守っていこうと約束します。
ある日、出かけた母が帰ってこないので実弥が探しに行きます。
夜も遅くなってきたので弟妹に休むように言うと、家の扉を叩く音が聞こえ、飛び出して行く弟妹を止めようとしますが、扉から出来た何かは弟妹を傷つけ殺してしまいます。
襲ってきた何かが暗くて見えない中、実弥がそれを捕まえ「玄弥 逃げろ!!」と言いながら外に飛び出します。
深い傷を負った弟妹のために医者を呼びに行こうとうする玄弥の前に、実弥と血だらけになって倒れた母親を見つけます。
そして玄弥は実弥に向かって「何で母ちゃんを殺したんだよ 人殺し」と言ってしまうのです。
弟妹を襲った何かは鬼になった母親だったのです。
最愛の母を手にかけ打ちのめされている実弥が、必死に守った弟の玄弥から罵倒されてどんな気持ちだっただろうか。と玄弥は謝りたかったのです。
実弥と玄弥は父親が命を落としてすぐに、家族たちは二人で守ろうと約束したばかりでした。
そして19巻168話「百世不磨」は実弥の回想で、鬼になってしまった母親を殺めた後の過去になります。
無限城での上弦の壱 黒死牟との闘いで、自分の血で酩酊するところで過去の回想シーンが始まります。
自分の血が特別(稀血)であることに気が付いた過去です。
鬼にされた母親が、実弥が出血した途端に動きが鈍くなったのです。
母を殺めた後は、鬼殺隊も日輪刀のことも知らずに山ほどの刃物で武装し、鬼を捕らえ陽の光で焼き殺すという日々を送っていた実弥。
それでも死なずにいられたのは特別な血で、鬼を酔わせられたおかげだと気が付きます。
そして、ある鬼を追っている時に出会った鬼殺隊の桑野匡近(くわのまさちか)が育手を紹介してくれたのです。
その後、実弥は鬼殺隊に入隊し、桑野と共に下弦の壱と対峙し見事倒すのですが桑野は命を落としてしまいます。
2人で下弦の壱を倒したのに、柱になったのは実弥だけでした。
柱になって初めて参加した柱合会議で、実弥はお館様に噛みつきます。
「いいご身分だなァ おいテメェ 産屋敷様よォ」と今では考えられない言葉を浴びせます。
そんな実弥に注意しようとする岩柱の悲鳴嶼と当時の花柱 胡蝶カナエを制したお館様に、白々しい演技だと言う実弥。
「隊員のことなんざァ使い捨ての駒としか思ってねェくせに」
武術も何もかじってないヤツが鬼殺隊の頭だということに不満を爆発させるのです。
そんな実弥に対し、お館様は「ごめんね」と謝り、自分もともに戦う剣士になりたいがどうしても無理だったこと、つらいことばかり君たちにさせてごめんねと。
そんなお館様の姿は、実弥の母親を思い起こさせ、わが子を慈しむように感じ何も言えなくなってしまいます。
そして桑野が死んで間もないのに、兄弟のように仲良くしていたから尚更つらかっただろう。という言葉に驚く実弥。
お館様は亡くなった隊員の名前・生い立ちを全て記憶しているのです。
そして桑野の書いた遺書を実弥に渡し、桑野の想い「生き抜いて欲しい」ことを伝えてあげるのです。
また、ノベライズ「風の道しるべ」では、育手を紹介し一緒に下弦の壱と戦った、そして兄弟のように共に過ごした桑野匡近との出会いから実弥が柱になるまでのお話しが描かれています。
岩柱 悲鳴嶼行冥の過去
岩柱 悲鳴嶼行冥の過去が分かるのは・・・
単行本
- 16巻 第135話「悲鳴嶼行冥」 第139話「落ちる」
鬼滅の刃ノベライズ第2巻
- 第1話 片羽の蝶
炭治郎が悲鳴嶼の元で柱稽古の最終を突破し、悲鳴嶼に刀鍛冶の里で鬼の禰豆子よりも里の人を守ったことを正しい行動であったと、君を認める。と炭治郎に伝えます。
しかし炭治郎は正直者なので、自分が決断したのではなく禰豆子が決断したこと。
自分は決断が出来ず、里の人は危うく死ぬところだった。
だから認められては困ります。と悲鳴嶼に伝えるのです。
悲鳴嶼は心の中で「子供というのは純粋無垢で弱く すぐに嘘をつき残酷なことを平気でする 我欲の塊だ」と考えます。
それに比べ、炭治郎は違うと感じ、それでも炭治郎を認めることを伝えるのです。
炭治郎はなぜ自分をそこまで信じてくれるのか悲鳴嶼に問うと、悲鳴嶼は過去のことを炭治郎に話し始めます。
悲鳴嶼は鬼殺隊に入隊する前、寺に住みながら身寄りのない9人の子供たちを育てていました。
ある夜、言いつけを守らず日が暮れても寺に戻ってこなかった一人の子供が鬼と遭遇し、自分が助かるために、寺にいた悲鳴嶼や他の8人の子供たちを喰わせると言って藤の花の香炉を消し寺の中に招き入れたのです。
すぐに4人の子供が殺され、残りの4人を必死に守ろうとした悲鳴嶼だが、その時から盲人だったため3人の子供は言う事を聞かず各自の判断で動いた結果、鬼に殺されてしまいます。
唯一1人残った一番下の沙代だけは何としても守ろうと鬼を殴り続け倒すことができましたが、鬼は朝日で塵となり、寺には鬼に殺された子供たちと悲鳴嶼・沙代だけが残っている状態です。
そんな現場に駆けつけてきた人たちに沙代は「あの人は化け物 みんなあの人が みんな殺した」と言うのです。
まだ4歳の子供であったため混乱の中、誤解を招くようなことだけしか話せなかった沙代。
悲鳴嶼は殺人の罪で投獄されたのですが、お館様である産屋敷耀哉に助けられるのです。
そして助けられた時の回想が同じ16巻の第139話「落ちる」で描かれています。
悲鳴嶼がお館様と始めた会ったのは、悲鳴嶼18歳 お館様14歳の時です。
4つも年下にも関わらず立ち振る舞いは立派なもので、お館様に掛けられた言葉に悲鳴嶼は救われます。
「君が人を守る為に戦ったのだと 僕は知っているよ 君は人殺しではない」
そして一番直近の過去として鬼舞辻無惨が産屋敷邸を襲う5日前にお館様と悲鳴嶼の2人が最後になる会話のシーンも続きに描かれています。
5日以内に無惨が襲ってくる。お館様は自分を囮にして無惨の頚を取ってくれと悲鳴嶼に頼みます。
他の子供たち(柱を含む隊士)は、お館様が自分を囮に使うことを承知しないはず。
だから悲鳴嶼にしか頼めない。と・・・。
鬼殺隊最強の隊士 柱の中でも一番年上であり、現在の柱のメンバーから見れば悲鳴嶼は一番長くお館様と時を過ごしていたはずです。
だからお館様も悲鳴嶼を心から信頼し、無茶なお願いが出来たのかもしれませんね。
また、鬼滅の刃ノベライズ第2巻の第1話 片羽の蝶では、胡蝶姉妹(カナエ・しのぶ)が鬼に家族を襲われたところを悲鳴嶼が助け、仇を討ちたいという胡蝶姉妹に育手を紹介する物語が描かれています。
まとめ
今回は鬼殺隊の柱のそれぞれの過去について単行本の何巻何話で読めるのか?をご紹介しました。
単行本以外にも、鬼殺隊見聞録・ノベライズ・外伝などにも過去が描かれているため、一緒にご紹介させていただきました。
柱のほとんどは鬼によって身内や友人などの大切な人を殺されています。
そして過去を見ていくと、お館様である産屋敷耀哉の言葉に助けられている人が多いことも分かります。
鬼殺隊の柱はそれぞれ個性あふれる独特で風変わりな人が多い印象ですが、大切な人を失った悲しい過去があり、それを糧に鬼舞辻無惨を倒すことの執念やエネルギーになっているのですね。