最近テレビなどで高齢者ドライバーによる事故が話題になり、免許返納を呼びかける声もよく聞こえてきますよね。
しかし、地方で暮らす高齢者にとって車移動は生活の中でとても重要です。
車が無ければ移動手段が少ないため、買い物・銀行・役所に行くのも大変な人も多いでしょう。
そうゆう生活環境では簡単に免許返納が出来ないのも事実です。
きっと高齢者の皆さんも「そろそろ免許を返そうかな」と思いながらも日々生活をされている方も多いのではないでしょうか?
また、高齢者ドライバーが起こした事故をニュースなどで目にして「自分の親もそろそろ考えないとダメだな」と思う方もいらっしゃるでしょう。
高齢者ドライバーの免許返納には、様々な弊害があるのですぐには難しいかもしれません。
しかし、いつかその時が来るかもしれないから免許返納について知っておきたいという方のために、今回は免許証の返納手続き方法や代理でもできるのか?
そして免許返納後の特典についてもご紹介していきます。
目次
免許証の自主返納について考える
自動車運転免許証の自主返納とは、運転免許証が不要になった方や高齢による身体機能に不安がある方が自主的に免許を返納できる制度です。
高齢者ドライバーによる事故が増えてきたことによって1998年に導入された制度です。
免許証を返納できることは何となく知ってはいても、手続き方法などの詳しいことはまだ認知されているとは言えない状況のようです。
免許証を返納できるのは、年齢制限が無いので免許証を持っている人は何歳でも返納ができます。
免許返納のタイミング
何歳でも免許返納ができるため、いつ・どんな時に返納すればいいのか悩む人もいるでしょう。
免許返納するタイミングの1つに「高齢者ドライバー」と呼ばれる70歳になった時です。
年齢を重ねるにつれて判断能力や身体機能が低下してしまい、ハンドル操作やアクセルとブレーキの踏み間違いなどしてしまえば、それだけ交通事故を起こす危険性が高まります。
ほんの少しの操作ミスや判断の遅れで死亡事故になってしまうこともあります。
事故は被害者やその家族・事故を起こした本人だけではなく、加害者となってしまったドライバーの家族にとっても悲劇です。
言ってみれば高齢者ドライバーの免許証返納は本人だけでなく、家族で考えることでもあります。
正直、高齢になると過信が強くなったり周りの意見をなかなか聞き入れずらくなったりします。
最終的にはご本人の決断によるものですが、周りの家族がそろそろ・・・と思うならば根気強く説得することも必要になるでしょう。
免許証の返納方法
免許証の返納は手続きが必要です。
返納手続きできる場所はどこか?手続きに必要な物はあるのか?をご紹介していきます。
免許証の自主返納手続き場所は?
基本的には、警察署・運転免許センターや試験場などで手続きすることができます
地域によっては交番や駐在所でも返納できる自治体もあるそうですが、間違いないのは警察署・運転免許センターです。
手続きできる場所から考えて、平日の受付がほとんどだと思いますが、土日でも受付けてくれるくれる自治体も少しずつ増えているようです。
お住いの地域で返納手続きができる場所はどこなのか、事前に確認しておきましょう。
免許返納手続きに必要な物
有効期限内の免許証と運転免許取消申請書があれば手続きを行うことができます。
地域によっては印鑑が必要なところもあるので、念のため持って行きましょう。
免許証を返納することで、身分証明書が無くなってしまうことを懸念して返納手続きをしない人がいますが「運転経歴証明書」という公的な身分証明書の交付を受けることができます。
この運転経歴証明書を交付する場合は、手数料の1,100円が必要です。
そして申請用写真(縦3センチメートル・横2.4センチメートル)も用意しましょう。
~免許証返納に必要な物~
- 返納する免許証(有効期限内)
- 印鑑
- 交付手数料1,100円
- 申請用写真
注意)③と④は「運転経歴証明書」を発行する場合のみです。
免許証返納の際に、住所変更する場合は変更後の住所が確認できる住民票が必要な場合があります。
免許証返納の代理手続きはできるの?
基本的に免許証の返納は本人が手続きをしなければいけません。
しかし、本人が体調が悪いなどで手続きが行えない場合は代理人が代理手続きを行うことができます。
親族や介護施設の管理者などが代理人となり、返納の手続きを行える自治体も増えています。
まずは、お住まいの地区の自治体で代理手続きが可能か確認する必要があります。
確認の時には、代理手続きに必要な物も確認しておくとよいでしょう。
ここでは、一般的に代理手続きに必要な物をご紹介しておきます。
~免許証返納の代理手続きで必要な物~
- 返納する人の免許証
- 委任状(免許返納する本人の自筆)
- 代理人申請者の本人確認ができる書類(運転免許証や住民票など)
委任状は警察署や免許センターに準備されていたり、各都道府県の警察署HPから印刷することもできます。
地域によっては委任状の他に、運転免許取消申請書・代理人誓約書などの書類が必要な場合もありますので、事前に確認をしましょう。
全ての自治体で代理手続きが可能なわけではありませんが、2015年に警察庁から各都道府県警に代理人手続きが可能になるよう対応を要請しています。
今は、対応できない自治体でも今後対応をしていくこともあるでしょう。
免許証返納後は「運転経歴証明書」が身分証に
免許証を返納すると、写真付きの身分証明書がなくなり不便になることから免許証返納になかなか踏み切れない方も多いそうです。
そこで「運転経歴証明書」を申請し発行すれば、免許証と同じ役割となる身分証明書を手に入れることができます。
ここで注意したいのは「運転免許証の取消をしてから5年以内に交付申請」をしなければならないことです。
「運転経歴証明書」は、免許証を返納した日から遡り5年間の運転に関する経歴を証明するもので、免許証と同じカードサイズです。
経歴証明書なので免許証として使えるわけではありません。
「運転経歴証明書」の申請条件は?
「運転経歴証明書」は公的な身分証明書として利用できるだけではありません。
「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」に加盟しているお店で様々な特典が受けられます。
この特典は原則65歳以上の方が対象となります。
運転経歴証明書を申請するためには、次の条件を満たしていなければいけません。
- 有効期限内の免許証を返納している
- 運転免許証を返納してから5年以内である
- 免許取り消しの基準に該当していない
- 免許停止中や免許停止の基準に該当していない
- 再試験の基準に該当していない
申請場所・受付時間や曜日・必要書類は、各地域によって異なります。
各都道府県警察の運転免許センターに問い合わせて確認をしましょう。
免許証を返納したら特典があるの?
先ほどご紹介した「運転経歴証明書」は公的な身分証明書としての役割だけなく、様々な面で返納者のサポートをする特典があります。
各自治体によって支援対策に加盟しているお店やサービスが異なります。
主にタクシーやバスの運賃が割引になるサービスが多いのが特徴です。
免許を返納すれば、移動手段としてタクシーやバスを利用する機会が増えることから、このようなサービスが主になっているのではないでしょうか。
それ以外にもスーパーやホームセンターで買い物をした後の配達料が無料になる特典もあるようです。
支援対策に加盟しているお店では施設(銭湯や美術館など)が無料や割引になったり、商品の割引特典などもあるようです。
詳しくは下のURLから、該当する都道府県でチェックすることができますので、ぜひ見てみてくださいね。
まとめ
今回は、免許証返納手続きについての方法や代理手続き、返納特典などについてご紹介しました。
冒頭でもお伝えしたとおり、近年は高齢者ドライバーの交通事故が増えているように感じます。
そんなニュースを目にすれば、ご本人もご家族も「免許返納」について考えなくてはいけないな。と思うことも多いでしょう。
しかし、地方では車社会が当たり前で車が無い生活は非常に不便だと思います。
それが理由で免許証を手放したくない高齢者が多いのが現状です。
高齢になるにつれて、事故のリスクが高まることはご本人はもちろん、家族のみなさんも認識していく必要があります。
のちに後悔してしまうような事故を未然に防ぐことも考えていかなければいけません。
事故を起こして、本人がケガをしたり人にケガをさせる前に。
ニュースで報道されているような、痛ましい事故を少しでも減らすために。
時には家族がご本人を説得しなければいけないこともあるでしょう。
免許返納後は、家族としてもご本人を支えていく気持ちで説得することも必要だと思います。
これからは、免許証返納後の生活も考えながら、早めの準備をしておきましょう。
最後に、下記で免許返納に関して各都道府県警のHPで確認できますので、参考にご覧ください。