あなたがもし初めて喪主を務めることになった場合、分からないことが多いと思います。
その中でも、喪主の務めとして会葬してくださった方々への挨拶はプレッシャーも大きいでしょう。
私も一緒に住んでいた祖父が亡くなった時に、父親が喪主を務めましたが挨拶以外にもやる事がたくさんあり、忙しそうにしていたのを覚えています。
そんな中で、ゆっくりと喪主の挨拶を考えている暇も無さそうでした。
その時は、あまりの忙しさを見かねて私が喪主の挨拶の雛形を作ってあげました。
不幸事では使わない方が良い言葉だったり、言い換えた方が良い言葉などがあるのでじっくりある程度の時間をかけて考えたいものです。
しかし、急に不幸なことがあり葬儀まで葬儀社との打ち合わせ・決めなければいけないこと、そんな中での来客の対応などしていたら、挨拶を考える余裕は無いかもしれません。
今回は、そんな場合のために通夜・葬儀・告別式の挨拶文例をご紹介します。
初めて喪主を務める方のためにも、故人を送るまでの流れをご紹介しながら説明していきたいと思います。
目次
喪主が挨拶をするタイミング
喪主が会葬者に挨拶をするタイミングは、基本的に4回です。
- お通夜終了時
- 通夜振る舞い
- 告別式終了時・出棺時
- 食事(精進落とし)
それぞれ喪主本人が挨拶するのが望ましいですが、地域によっては①・②は葬儀委員長や司会者が挨拶を代読する場合もあります。
ただし、喪主が一言も挨拶をせず代読ばかりなのは失礼になってしまうので、③告別式終了時か出棺時に挨拶することが多いです。
④食事(精進落とし)は、親族がほとんどで他の一般参列者へ最後に挨拶できるのは告別式終了時・出棺の時です。
ですので、③告別式終了時・出棺時に喪主が挨拶するケースが多いようです。
喪主が挨拶をする人
喪主の挨拶と聞くと、親族や参列者に対して挨拶をするというイメージがあると思いますが、実は他にも挨拶をしなければならない人がいるのです。
これは、喪主の役割と言っていいでしょう。
では、喪主は親族や参列者以外の誰に挨拶をするのかご紹介します。
世話係やお手伝いの方
葬儀を行う上で、家族だけでは全てのことを行うことができません。
例えば、通夜や告別式の受付、通夜振る舞いや宿泊参列者の用意などは世話係の人などがお手伝いしてくれます。
地域にもよりますが、ご近所の方や親しい友人などがお手伝いしてくれる場合もあります。
そういう方たちは、通夜が始まる前から会場で作業をして下さっています。
あなたが会場に入ったら、世話係やお手伝いの方々に挨拶をするのがマナーです。
初めてのことで行き届かないこともあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
僧侶をお迎えする時とお布施を渡す時
それ以外にも、故人が自宅に帰ってきた際に「枕経」をお願いと葬儀でお勤めしていただくお願いの時も挨拶をします。
<枕経のお願い>
○○(父や母などの続柄や名前)が先ほど亡くなりました。
ただ今自宅に戻りましたので、ご住職に枕経をお願いしたいと思います。
<僧侶が到着した時>
○○(父や母などの続柄や名前)も、さぞ安心することと思います。
不慣れですので、何かとご指導ください。
(控室はこちらです。)
<僧侶にお布施を渡す時>
お陰様で無事に葬儀を終えることができ、○○(父や母などの続柄や名前)も安堵していることだと思います。
些少ではございますが、こちらはお礼です。どうぞお納め下さい。
これからも何かとお世話になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
喪主挨拶の文例
今までご紹介したのは、お手伝いの方や僧侶への挨拶でしたが、ここからは葬儀の中で喪主として挨拶をする文例をご紹介します。
先ほどもご紹介した通り、葬儀の一連の中で喪主としての挨拶は4回あります。
それを、葬儀の流れに合わせてご紹介していきますね。
通夜終了後の挨拶
僧侶が退室され、通夜の終了時には祭壇の前に立ち参列者に挨拶をします。
まずは挨拶に盛り込む内容をポイントでおさえておきましょう。
<通夜終了時の挨拶ポイント>
- 自己紹介(故人との関係:妻・息子・孫など)
- 弔問へのお礼(会葬者への感謝)
- 故人の近況・想い(亡くなる前の状況や故人への想い)
- 生前のお礼(生前の故人に対する厚意への感謝)
- 通夜振る舞いや告別式の案内(時間や場所のお知らせ)
- 結びのお礼
このポイントを盛り込んだ挨拶の文例はこちらです。
遺族を代表いたしまして、ご会葬の皆さまに一言ご挨拶申し上げます。
私は故人の長男○○でございます。
本日はご多用にも関わらず、亡き○○(故人の名前)の葬儀にご会葬くださいまして、誠にありがとうございます。
父は昨年より持病の○○のために入院しておりましたが、昨日〇時◯分に息を引き取りました。
享年◯歳でした。
家族皆、もっと長生きしてほしかったという思いがありますが、亡くなる直前には自宅に戻り好きな寿司とお酒を飲み、家族との団欒ができて幸せな生涯だったのではないかと思います。
皆様の生前のご厚誼(こうぎ)に、深く感謝申し上げます。
大変ささやかなお食事などを用意しておりますので、故人の生前のお話などお聞かせいただければ幸いに存じます。
故人への供養にもなりますので、ぜひお召し上がりいただきたく存じます。
なお、告別式は明日の午前〇時より、こちらの斎場で執り行います。
お時間がございましたら、お見送りに来ていただければと思います。
本日は誠にありがとうございました。
通夜振る舞いの挨拶
通夜振る舞いの挨拶は、前と終了時の2回挨拶をするタイミングがあります。
しかし、通夜の最後に通夜振る舞いの案内をした場合は省くこともあります。
ここでは、通夜振る舞いの前と終了時の挨拶をご紹介します。
<通夜振る舞いの前の挨拶>
本日はお忙しい中、亡き○○(故人の名前)の通夜にご参列いただきありがとうございました。
皆さまにお集まりいただき、故人も喜んでいると思います。
ささやかではございますが、お料理をご用意させていただきました。
どうぞ召し上がりながら、故人との思い出話などをお伺いできたらと思っております。
<通夜振る舞い終了時の挨拶>
本日はありがとうございました。
皆さまのお陰で、滞りなく通夜を終えることができました。
お話は尽きないところではございますが、夜も更けてまいりました。
遠方からお越しの方や明日のお仕事の方もいらっしゃいますので、この辺りでお開きにさせて頂きます。
なお、告別式は明日の午前〇時より、こちらの斎場で執り行います。
本日は誠にありがとうございました。
告別式終了時・出棺時の挨拶
基本的に通夜の挨拶と内容はほとんど同じですが、少し内容が異なる箇所があります。
<通夜の挨拶と異なる点>
- 昨日の通夜と告別式が無事に終わったことのお礼
- 今後、遺族にも変わらぬ力添えのお願い
- 最後の見送りに来ていただいた謝辞
上記のポイントをおさえた挨拶の文例はこちらです。
遺族を代表いたしまして、ご会葬の皆さまに一言ご挨拶申し上げます。
私は故人の長男○○でございます。
本日はご多用にも関わらず、亡き○○(故人の名前)の葬儀にご会葬くださいまして、誠にありがとうございます。
おかげさまをもちまして、昨夜の通夜、そして本日の告別式を滞りなく執り行うことができました。
故人もさぞかし皆さまに感謝していることと思います。
父は昨年より持病の○○のために入院しておりましたが、昨日〇時◯分に息を引き取りました。
享年◯歳でした。
家族皆、もっと長生きしてほしかったという思いがありますが、亡くなる直前には自宅に戻り好きな寿司とお酒を飲み、家族との団欒ができて幸せな生涯だったのではないかと思います。
皆様の生前のご厚誼(こうぎ)に、深く感謝申し上げます。
故人の生前と同様、残された私どもに対しましても、変わらぬご指導ご厚誼(こうぎ)を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
本日は最後までご丁寧な見送りをいただきまして、誠にありがとうございました。
食事(精進落とし)の挨拶
告別式終了後や火葬場でのお骨上げの前などに、料理を振る舞います。
これを「精進落とし」と言い、喪主の挨拶はこれが最後となる場合がほとんどです。
葬儀が無事に滞りなく終えられたことへのお礼を伝えます。
精進落としの始まりと終わりの挨拶の文例をご紹介します。
<精進落としの始まりの挨拶>
皆さま、本日は誠にありがとうございました。
皆さまのお力添えにより、無事に告別式まで終えることができました。
改めてお礼申し上げます。
ささやかではありますが、精進落としの膳を用意させていただきました。
この後、お骨上げと繰り上げ法要がございますが、それまでどうぞおくつろぎください。
<精進落としの終わりの挨拶>
本日は、亡き○○(故人の続柄や名前)のためにお心遣いいただき、ありがとうございました。
これより、お骨上げと繰り上げ法要がございますのでご移動をお願いいたします。
何かと行き届かない点がありましたこと、お詫び申し上げます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は最後まで誠にありがとうございました。
ここまでの参列者は、ほとんどが親族になりますので、ここまで堅苦しくなくても構いません。
喪主挨拶の注意点
ここまで葬儀の流れに沿って喪主の挨拶をご紹介してきました。
次は、挨拶の中で注意しなければならない点をご紹介します。
喪主は葬儀の代表者です。言葉のマナーについても理解しておきましょう。
言葉のマナー
葬儀の場では、挨拶はもちろんのこと、言葉のマナーとして避けるべき言葉があります。
九・四、迷う、浮かばれない など
重ね重ね、またまた、たびたび、ますます、いよいよ、しばしば など
再び、再度、引き続き、次に、また、続く など
死亡、死去、死ぬ、急死、生存、生きる、存命 など
感謝の気持ちを素直に伝える
おそらく、とても緊張するでしょう。
そんな中で大事にしたいのは「感謝の気持ちを伝える」ということです。
まずは参列してくれたことのお礼と、生前お世話になった感謝の気持ちです。
これが伝われば十分です。
うまく話そうとすると、緊張も高まり上手に話すことが出来なくなります。
また、大事な家族が亡くなったのですから、挨拶で故人のことを話せば悲しさが込み上げてくることもあるでしょう。
もし、挨拶の最中に言葉が詰まったり涙が込み上げてきた場合でも、焦らずにゆっくりと挨拶すれば良いです。
参列者も、喪主や家族の気持ちと同じで悲しい気持ちです。
もしあなたが言葉に詰まっても気持ちを理解してくれているはずです。
まとめ
今回は、喪主の挨拶についてご紹介させていただきました。
私自身も、今まで大事な家族や親戚が亡くなって葬儀に参列したことがあります。
また、身近な家族が喪主を務めているところも見てきました。
喪主は悲しむ暇も無いくらい、葬儀の準備などをしなければなりません。
亡き家族をお見送りしてくださる参列者に失礼が無いように。
大事な家族をきちんと見送ってあげたい。
その一心で喪主の務めを果たさなければなりません。
やらなければならない事がたくさんある中で、喪主の挨拶もその中の一つです。
このような大変な時は周りの家族や親戚、会社の先輩・上司などに頼ったり相談したりすることも大切です。
今回ご紹介した喪主の挨拶が、あなたの一つの助けになることを願います。